本当に「客引き」消えたのか? 深夜に蠢く姿も…規制条例施行1年「ミナミからは手を引いた」「北九州へ拠点移す」
大阪・ミナミの戎橋から客引きが“消えた”という。
理由は、指定区域でのあらゆる客引き行為を禁じ、悪質違反者には過料を科すという大阪市の条例。全国有数の厳しい内容に、客引き専門業者は「北九州に拠点を移した」などと噂された。しかし実際は、市の指導員が姿を消す深夜になると、どこからともなく姿を現し、性風俗店などに勧誘する姿がみられる。
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「どんなお店探してはります?」
6月のある日の夜。戎橋(大阪市中央区道頓堀)付近では、若者が通行人に声をかけているが、しつこく食い下がることはない。
一切の客引き行為を禁止し、違反を繰り返した場合には過料5万円を科す-。昨年6月施行の同市の客引き適正化条例がにらみをきかせているのだ。
条例によって駆逐されたのは、飲食店などから客引きを請け負い、アルバイトらを派遣する専門業者。「客1人を店に呼び込めば、飲食代金の15%が専門業者の手に入る」(関係者)といい、強引な客引きが問題視された。
市によると、5月末までで、条例に違反したとして客引き業者らに指導書を交付したのは103件▽これに従わなかったとして、勧告書を11件▽さらに勧告に反したとして命令書2件-を交付した。2件のうち1件は、5万円の過料を支払わせたという。
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市によると、条例施行1カ月前の平成26年5月にミナミ全域で約300人確認された客引きは、約5カ月後の同年11月には約100人に減少。最盛期に100人以上いたとされる戎橋からは、ほぼ一掃された。
そこで噂されているのが地方への転出だ。
「あの子らは神戸でやってますよ」「京都に行ったみたい」
条例を担当する市職員が顔見知りの客引きを見かけて尋ねると、こんな答えが返ってきた。また、ある客引き業者は、市から指導書を受け取り「北九州や福岡にシフトしている」と打ち明けた。
ただ、兵庫県や京都市にも同様の条例があり、担当者は「大阪から客引きが流入したとの話は聞いていない」。福岡県警も「同様の条例がないので警戒しているが、大阪から客引きがきたというのは聞いたことはない」としている。
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客引きは本当に姿を消したのか。
実際、街中で客引きの姿を見かけることはある。しかし、今いる客引きは飲食店が直接雇用しているケースが多いとみられる。市条例では、店舗の敷地に隣接する場所以外の客引きを禁じており、店舗周辺のおおむね1メートルの範囲では「合法」。飲食店が従業員に自分の店の前で客引きをさせているのだという。
ただ、違法な客引きが根絶されたわけではない。大阪府警の25~26日の一斉摘発では、性風俗店の客引き5人が逮捕された。こうした客引きは、市の夜間パトロールが終わった後の深夜になると姿を現すといい、府警の担当者は「市の指導員と協力して取り締まりを進めたい」としている。
警官にも罰金の何パーセントが本人に入るようにしたら、すごい早さで浄化されるのに
しないところが優しさ