クラブ規制、次なる攻防は? 衆院解散で風営法改正案廃案 推進派「再提出に期待」VS住民「トラブル対策も」
昨年末の衆院解散・総選挙による余波で、若者がダンスを楽しむ「クラブ」の営業規制を緩和する風営法改正案が廃案になった。
「ダンスは文化」と法改正を求めてきた関係者は「せっかく議論が盛り上がっていたのに」と残念がる一方、次期国会で予定される改正案の再提出に期待を寄せる。これに対し、クラブ周辺の治安問題に頭を悩ませてきた地元住民は「いずれ規制緩和されるだろうが、対策も並行して議論してほしい」と声を上げる。
深夜に高いニーズ
ある平日の深夜。大阪・ミナミのクラブの扉を開けると、大音量のクラブミュージックがあふれ出した。
照明が落とされ暗い店内。スモークがたかれ、カラフルなライトが激しく交差する。酒を片手に音楽に合わせて体を揺らす男性グループや、壁にもたれて手持ちぶさたにしている女性の2人組…。「朝までクラブで騒ぐのが一番のストレス発散」というのは、友人と遊びに来ていた男性会社員(23)だ。
クラブは風営法上、風俗営業とみなされ、原則午前0時までしか営業できない。法改正により、店内の照度を確保すれば24時間営業も可能になるため、「一番ニーズのある深夜帯に営業しないと経営が成り立たない」というクラブ関係者の期待がかかっていた。
「無法地帯」の歴史
だが、突然の衆院解散・総選挙で風営法改正案は廃案に。無許可で客にダンスをさせたとする風営法違反罪に問われ、1審大阪地裁で無罪となった大阪市北区のクラブ「NOON」元経営者、金光正年さん(52)は「もう一歩で実現するところだったのに残念」と話す。
一方、「先送りになり、とりあえずほっとした」との声もある。法改正による規制緩和で治安の悪化を懸念する地元住民らだ。
約20店舗のクラブがあるという大阪・ミナミ。そのうち7店舗が立地するアメリカ村を抱える地元の御津連合振興町会の阪上護会長(68)によると、住民は平成18年ごろから、違法営業のクラブが絡んだトラブルに苦しんできたという。
「騒音や振動で眠れない夜が続いた。客が大声でけんかしたり、車のボンネットの上で踊ったり…。無法地帯のようだった」
22年に、クラブ店内で大学生が暴行死した事件が発生。これを機に大阪府警が無許可クラブの一斉摘発に乗り出すと、次第に悪質な違法店は姿を消し、トラブルは減っていたという。
地域社会と共存を
「摘発を恐れ、午前0時以降に起きたトラブルを店は通報しない。それを知ってむちゃをする客もいた」。あるクラブ関係者は、実態にそぐわない現行法の規制がかえってトラブルを招くことがある、と主張する。
だが、法規制の枠内でいかにクラブと地域が共存できるかが重要というのが、住民側の見方だ。幻となった改正案では、警察署長と営業者、地域住民らによる「風俗環境保全協議会」を設けることが盛り込まれていた。
阪上会長は「いったん廃案になったからといって、規制緩和の流れが止まるわけではない。かつての騒音問題が再燃したり、違法クラブが簡単に増えたりしないように、今後は対策を同時並行で考えてほしい」と訴えている。
こういうのはバランスが難しいですね。
若い時はあんたもしたんだろう…というのはね