いわゆる枕営業といえば、みなさんは、どのようなものを想像されますか?
きっと、次期のアニメのヒロイン役などをめぐって、声優さんが、監督と一夜を共にするというような感じでしょうが、アニメの世界は芸能界一般と違って、そのようなことはないと思いますが……!
■枕営業とは?
私、風俗弁護士として考える枕営業といえば、キャバクラやクラブの女性が店にきてもらうために行うもので、アフターなどの際、ついつい流れでということでしょうか?しかし、キャバなどでこの枕営業をしている女性はいたとしても、ごく少数です。
たまに、何を勘違いしたのか、高いボトルを入れたりした客が、当然といわんばかりに枕営業を求めてくるという話を聞きますが、それはあまりにも彼女たちに対して失礼でしょう。
お金を使うのは自由だけど、夜明けのコーヒーを一緒に飲みたいなら、お金を使うだけでなく、惚れさせるくらいの粋な遊びをしてほしいものです。
■では、この枕営業は法律に抵触しないものなのでしょうか?
売春防止法第2条の規定によれば、対償を得て不特定多数のものと性交をすれば、違法であることが明示されていますしかし、この場合も罰則規定が規定れるのは、公衆の面前で客引きした場合や騙して売春させた場合などの例外的パターンのみです。
枕営業をしている女性が街頭で客引きなどはまず考えられないでしょう。また、不特定多数かといえば、来る客、来る客と性交していれば、格別、特定の客との情事であれば、ことさら売春と騒ぎ立てるほどのものではないといえましょう。
そうすると枕営業は、何の問題も内包していないといえば、いかがでしょうか?
例えば、ある声優さんが、秋アニメのヒロイン役をねだって監督と情事に及んだが、実はその声優さんがヒロイン役に抜擢されなかった場合、その声優さんは監督に対して慰謝料などの請求ができるでしょうか?
これを、単なる恋愛と考えれば、いささか法律が口を出すのもどうかと思いますが、もし監督に妻子がいるなどの事情を知りつつ、積極的に情事に及んだとの事情があれば、当該声優さんは、慰謝料等の請求を監督の奥様から受ける可能性があり、情事に及んだからといって期待していた見返りを求めることは公序良俗に反してできないということになります。
では、監督の側から情事をしないと降板させると声優さんに強制があった場合は、いかがでしょうか?これはいうまでもなくセクシャルハラスメントであり、下手をすれば、強要罪を構成するものと考えられます。
いずれにしても人間の不可欠な欲求である性を取引材料として営業するわけですから、社会的に見てあまり立派な営業とは思いませんが、せめて品位を保つ程度の営業にしないと下手したら、売春といわれても仕方ないですよ!それとなく!それとなく!
*著者:弁護士 小西一郎(坂本総合法律事務所。風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律を専門分野とする風俗弁護士として全国を飛び回る。)
結局、とらえ方次第ということなので、好きなようにしろってことですね?